この記事を読んでいる方の中にはもしかしたらカーディーラーへの就職や転職を検討している方もいるかもしれませんね。
ではアナタはカーディーラーが普段どのような仕事をしているかご存じですか?
もし詳しく知らない or 知りたいという方はこちらの記事をぜひお読みください。
私は約9年間、地元のカーディーラーにて働いてきました。
楽しかった思い出や貴重な経験も数多くあるのですが働いている当時は本当にキツかったというのが正直な気持ちです。
この記事ではなぜそんなにもキツイと感じていたのか?を個人的な意見となりますがお伝えします。
最後まで読んで頂ければカーディーラーという仕事の実態を知ることができることでしょう。
カーディーラー時代のキツかった事
ノルマ地獄
なんと言ってもノルマ地獄です。
営業マンなんだから当たり前だろと思われる方も多いかと思いますが、カーディーラーはただ車を売るだけではありません。
車以外にも様々な商品・サービスを提供しており、その全てに厳しいノルマが設定されます。
- 車両販売
(新車、中古車) - 点検車両の入庫台数
(車検、法定点検、半年点検、無料点検) - 車に関係する商材販売
(ローン、任意保険、JAF、クレカ、タイヤ、車の部品) - その他
(携帯電話)
この全ての項目に対して毎月高いノルマが設定されており営業マンは必死に数字づくりに追われます。
今回はこの中から特にキツかった項目を4つピックアップしてみました。
車両販売
私は新車販売の営業マンでした。
ノルマとしては時期によりますが新車を毎月5~10台以上、そこに中古車も最低1台以上販売という数字が設定されていました。
皆さんはショールームに来店されたお客様に対して接客、提案をするイメージを持っているかもしれません。
でも現実として1か月で10人も「車検討してます~」なんて新規客は来店しません。
万が一に来たとしてもそのお客様を数人の営業マンで取り合い(早い者勝ち)になるので新規客に対しての期待は薄いです。
そこで必要となってくるのが既存客の掘り起こしです。
- 点検入庫でお待ちのお客様に提案
- ひたすらTELコール(主に夜か土日)
- ひたすら訪問(主に夜)
このようにとにかく自分からアクションを起こしどんどん行動していかないとクルマなんて絶対に売れません。
またこれは余裕のないダメ営業マンに多く見られる現象ですが、1度でも商談をしたお客様に対してはどんなにお客様の都合があったとしても数字の為に早急な結論を必要とします。
私も経験があります。
「すぐには決められない」と帰宅されたお客様に対し、その日の夜に家に押しかけ玄関先で頭を下げて受注した事もあります。
その時はお客様の事を何も考えていませんでした…。
しかし自分のノルマ達成のためにはしつこくお客様を追い掛け回す必要があります。
また、めったにある話ではないと思いますが実績がふるわず結果的に新車を自爆営業させられた先輩も過去に2人いました。
もちろん会社や店舗、上司によって様々だと思いますがそのくらいハードな環境になりうる仕事です。
ローンでの販売
上でも書いたように自社ローンでの販売にもガチガチのノルマが設定されてます。
件数と手数料の金額に対してです。
車を受注する際、営業マン側から見るとその支払い方法には大きく分けて2つのパターンがあります。
- 現金一括購入
→銀行などでのローン借入もこっち - 自社割賦(ローン)購入
→そのディーラーでの通常割賦、残価設定型割賦など
カーディーラーにて1度でも見積もりを取ったことのある人は自社ローンでの支払いを営業マンから必死に提案された経験はありませんか?
私がいた会社では自社ローン以外の受注は認めないという風潮がありました。
必死に追いかけて提案して何とか1台受注をもぎ取ったとしてもお客様が現金一括の支払い方法だった場合は全く評価されませんでした。
なぜこんなにも必死に自社ローンを勧めていたのかというと、
- ローンで発生する手数料が大事な収益源だから
- 営業マン個人にその手数料額に応じた奨励金が出るから
- 数年後に代替え提案がしやすくなるから(特に残価設定型の場合)
このような理由があるからです。
しかし銀行等のローンと比べると金利も高いという最大のデメリットが存在しており、このデメリットをいかに小さく見せれるかが重要でした。
- そのデメリットを打ち消すだけのメリットがあるんです!
- ○○様にはこの買い方がピッタリです!なぜなら…
- 今、ほとんどの皆様がこの買い方で新車に乗ってます!
こんな感じで手を変え品を変えとにかく商談したお客様全員に必ず提案していき、自社ローンでの販売を必死に追いかけまわしていました。
なお余談ですが私の先輩で長年トップセールスマンだった人は毎月10台以上販売しさらに受注はほぼ100%自社ローンというとんでもない事を毎月やっていました。
凡人営業マンはクルマ買います!→じゃあ支払い方法はどうしますか?という流れで商談をするので後手後手での提案なってしまいます。
しかし、細かい内容は省きますがその先輩は残価設定型で車を買う!→じゃあ車種はどうしますか?という流れで話が進むのでほぼ100%自社ローンで受注が取れる仕組みでした。
その先輩は独自のロジックを立て、それを分かりやすく説明する為に入念な準備をして毎回商談に臨んでいました。
スーパー営業マンはやはり自分で考え、試しながらそのやり方を構築して実績を積むんだなぁと感心した覚えがあります。
(マネしようとしたけどバカな私にはそのロジックが理解できなかったのはここだけの話です…)
サービス関連
ここではクルマの点検整備、そして部品販売に関することをサービス関連と総称します。
私のいた会社はこれもノルマが超絶厳しかったです。
- 毎月の点検入庫台数
→車検、法定点検、半年点検など - 毎月の一般売上
→部品やドライブレコーダーなど車に関する商品を売る - シーズン毎のタイヤキャンペーン
→1~3月に春タイヤ、10~12月に冬タイヤのキャンペーン
だいたい営業マンによる自腹が多発していたのもこのサービス関連でした。
・台数ノルマの為にデータ上のみ点検した事にしてお金だけ払う
→数千円の自腹
・金額ノルマの為に必要もないのにドライブレコーダーとか車のパーツ買う
→数万円の自腹
・タイヤキャンペーンのノルマの為にタイヤを20本近く架空発注する
→数十万円の自腹(未遂)
恥ずかしながらこれ、全部私の実体験です…
とにかくサービス関連はクルマ売る以上にキツイ思い出ばかりでした。
サービスに関しての方針は会社によって大きく異なると思います。
しかし少なからず上記の様なディーラーも存在するのは間違いないです。
最近ニュースでも大々的に報じられた某ディーラーでの不正車検(書類偽装)も内容は違えどノルマに追われた結果であると個人的には感じています。
JAF
JAFとはいわゆるロードサービスの事です。
これに対してももちろん年間ノルマが設定されています。
1年間で〇件獲得しろ!という感じですね。
細かい内容は省きますが、とりあえず1人6000円で1年間入会できるサービスとなっています。
なので車を受注したお客様でJAF未加入であれば6000円値引きするから1年間お付き合いしてくださいと半ば強引に入ってもらう事が多かったです。
そして足りない営業マンは年度末に数字を詰めるために自腹を切って何とかしのいでいました。
JAFには家族会員という制度があり、メインの会員がいれば+2000円で家族会員を追加できるというシステムがあります。
…あとはもうお分かりですね?
一番悲惨だった人はホントの家族はもちろん架空の家族、さらにはペットの名前も使って家族会員を増やしている人がいました。
ちなみにJAF自体は本当に素晴らしいサービスです‼
任意保険ではカバーできないトラブルに対応してくれます。
未加入の人で自家用車以外を運転する機会が多い方!
そんな方は強く加入をおススメします‼
圧倒的に少ない休日
基本的にディーラーは休みが無い仕事だと思います。
私の会社は年間休日105日で毎週月曜日定休、土日はシフト制という労働条件でした。
しかし、お客様の動きのある土日にのんびり休んでて良いのでしょうか?
答えはノーです。
土日にシフト通り休むなんてことはあり得ませんでした。
なので土日出勤した分は平日に振替休日を取得します。
ただ振替休日を取得したところで会社は絶賛営業中だし、上記の様に基本的に数字に追われている日常なので休むことなんてできませんでした。
勇気を出して休んだところで何百人といるお客様からは電話来るし、会社からも電話来るしで気が休まりません。
そもそも年間休日がアホみたいに少ない仕事ですが、このような理由から実質の年間休日は60~70日くらいだったと思います。
365日営業を謳っているディーラーもありますが…働いてる方々は大丈夫でしょうか?
まとめ
この記事ではカーディーラーで働いていた時のキツかった事を紹介しました。
もちろんカーディーラーで働くのは絶対ダメ!と言っているワケではないのですがオススメは出来ません。
向いてない人にはとことん向いていないからです。
個人的にカーディーラーに向いている人は
- 目標達成意識の高い人
- バリバリに働きたい人
- メンタルの強い人
- 競争意識の高い人
このようないわゆるザ・営業マンという人だと思います。
とにかく実績至上主義の世界なので、そこでバリバリ働いて実績をあげて皆に一目置かれる存在になりたい!
そんな人は是非ともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
以上、シンエイでした。